スタッフブログ第15回:透析患者さんはうなぎを食べても大丈夫? ~おすすめの食べ方をご紹介~
こんにちは、管理栄養士の椎名です。
暑いこの季節、香ばしいうなぎが食べたくなりますね。
うなぎには、暑い時期に摂りたい栄養素がたくさん入っていて、夏バテ予防にもおすすめの食材です。
その一方で、リンや塩分が多く含まれているので、透析患者さんはなかなか食べづらくもあります。
今回は、うなぎの栄養素と透析患者さんにおすすめの食べ方をご紹介します。
<うなぎの栄養>
うなぎには、夏バテ予防におすすめのビタミンB1とB2が豊富に含まれています。
また、ビタミンA、D、EやDHA、EPAも豊富に含まれていて、栄養たっぷりの食品なんです。
一方で、透析患者さんが注意したい栄養素のリンも多く含まれています。
☆ビタミンB1
炭水化物(糖質)をエネルギーにかえる働きをします。
『疲労回復ビタミン』とも呼ばれており、不足すると糖質をエネルギーとして上手に使えなくなり、疲労物質がたまってしまいます。
夏に食欲が出ないので、とりあえずそうめんだけ、スポーツドリンクだけ、といった糖質にかたよった食事をしていると、ビタミンB1が足りなくなってますますバテてしまいます。
特にこの暑い時期は、夏バテ予防にビタミンB1を意識してとりたいですね。
うなぎ以外にビタミンB1が多い食品は、豚肉・レバー・大豆・玄米などがあります。
☆ビタミンB2
脂質をエネルギーにかえる働きをします。
皮膚や髪の毛、爪などを作る時にも必要で、『発育のビタミン』とも呼ばれています。
うなぎ以外にビタミンB2が多い食品は、レバー・のり・卵・納豆・ブロッコリーなどがあります。
☆ビタミンA、D、E
脂溶性のビタミンなので、あぶらと一緒に食べると身体に吸収しやすくなります。
うなぎはあぶらがたっぷりの食品なので、もってこいですね!
ただし、摂りすぎると身体の中にたまってしまい副作用をおこすおそれがあります。
そのため、一日にとって良い上限量の目安が決まっています。
うなぎを毎日200g(一人前は約100g)食べるとこの上限量をオーバーしてしまいますが、たまに食べる程度なら気にしなくて大丈夫です。
ビタミンA:
目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を高める働きがあります。
普通に食事をしていれば不足することはめったにありません。
ビタミンD:
カルシウムの吸収を助けて骨や歯を丈夫にする働きがあります。
魚・きのこに多く含まれている栄養素なので、1日1回はお魚料理を食べられると良いですね。
ビタミンE:
抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防ぎます。
卵・アーモンド・かぼちゃ・大豆・ほうれん草などに多く含まれています。
☆DHA、EPA
血液をサラサラにしたり、血管を丈夫にする働きがあります。
LDLコレステロールを減らす作用もあり、動脈硬化の予防効果も期待されます。
身体の中で作ることができない必須脂肪酸なので食事からしっかり摂りましょう。
☆リン
カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくったり、エネルギーをつくる時にも必要な栄養素です。
いろいろな食品に含まれていますが、特に肉・魚・乳製品・大豆・加工食品に多く含まれています。
摂りすぎると、骨がもろくなったり、動脈硬化や心不全などを引き起こすリスクがあります。
透析をしている方は摂りすぎに注意が必要です。
<うなぎの栄養価>
うなぎの食べ方としては、かば焼きと白焼きのどちらかが多いと思いますので、それぞれの栄養価を比べてみましょう。
|
エネルギー (kcal) |
たんぱく質 (g) |
カリウム (mg) |
リン (mg) |
塩分 (g) |
かば焼き |
285 |
23.0 |
300 |
300 |
1.3 |
白焼き |
287 |
20.7 |
300 |
280 |
0.3 |
比べてみると、塩分量に大きな差があることがわかります。
これに付属のタレをかけるとさらに塩分量があがってしまいます。
透析をしている方は、1日の塩分量を6g以下に抑えることが理想とされるので、うなぎだけでこの塩分量は結構なものになりますね。
<食べ方>
では、透析をしている方はうなぎを食べてはいけないのか?というと、もちろんそんなことはありません。
いくつかポイントをおさえていただければOKです!
・食べる量に注意
うなぎにはリンが多く含まれているので、透析間で100gまでにおさえると良いでしょう。
前後の食事で、加工食品・肉・魚・乳製品などリンの多い食品を控えることも大切です。
・かば焼きの食べ方
かば焼きはうなぎ自体に塩分の濃いタレがしみ込んでいるので、一度水洗いしてから食べると良いでしょう。
副院長のコラムに美味しい食べ方が載っているのでぜひそちらも見てみてください♪
・白焼きにわさび、がおすすめ
白焼きは1人前100gあたりの塩分量が0.3gと少ないです。
お醤油やタレをかけると塩分量が増えてしまうので、出来るだけかけずに食べたいところ。
そこでおすすめしたいのが、わさびをつける食べ方です。
うなぎの旨味が引き立ちますし、あぶらが多いうなぎでもさっぱり食べられて美味しいですよ!
<食べるときの注意>
うなぎを食べる量は、100gまでにしましょう。
また、うなぎを食べる予定がある時には、その前後のお食事でリン・エネルギー・塩分が低めのお食事を意識すると良いですね。
上手に工夫しながら、美味しく楽しくうなぎを食べてくださいね。