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日常生活での注意点  ~運動・入浴・仕事など、安心して過ごすために~

[2025.08.05]

人工透析を受けているからといって、毎日が「制限だらけ」になってしまう必要はありません。

 

むしろ、うまく体と付き合いながら、趣味や仕事、運動、入浴など、普通の生活を送ることができます。

 

ただし、注意すべきポイントをきちんと知っておくことも大切です。

 

このコラムでは、透析患者さんの日常生活において、よくある疑問や不安を「運動」「入浴」「仕事」「旅行」「日々の体調管理」に分けて、説明していきます。

 

体を動かそう! 〜運動は“第2の薬”です〜

透析をしていると「体力が落ちた」「疲れやすくなった」という声をよく聞きます。

 

これは透析中に尿毒素と一緒に抜けてしまう栄養が欠乏していたり、

 

透析中も含めて運動する時間が減少してしまうこによる、筋肉の減少(サルコペニア)などが影響しています。

 

運動はそんな体の変化に対抗する「第2の薬」になります。

 

●どんな運動が良い?

激しい運動である必要はありません。おすすめは以下のような軽い運動です。

 

・ ウォーキング(1日15〜30分、ゆっくりでもOK)

・ 自宅でのストレッチやラジオ体操

・ 椅子に座ったままできる足上げ運動

 

また、透析中に行える「腎臓リハビリ」も注目されています。

 

当院でも透析中のエルゴメーター(自転車漕ぎのようなもの)や、動画運動など、

 

岩本クリニック オリジナル運動動画

患者さん一人ひとりに合った運動の方法を、理学療法士監修のもと提供しています。

 

私達スタッフと相談しながら、無理のない範囲で取り組むといいてすね。

 

●運動の注意点

・ 疲れている日や体調が良くない日は無理せず休息を優先

・ シャント腕を強く使う運動(腕立て伏せなど)は控える

・ 血圧が低めの方は立ちくらみに注意

 

お風呂には入れる? 〜入浴はリラックスの時間〜

「透析をしていると、お風呂に入れないのでは?」と心配される方が多いですが、基本的に入浴は可能です。

 

ただし、シャントの穿刺部からの感染予防に注意が必要です。

 

●入浴のポイント

・ 透析日は来院前に入浴しておくのが◎

・ 透析後当日は湯船につかるのを避ける(特に穿刺部からの感染のリスクあり)、短時間のシャワーはOK

・ 翌日からは通常通りの入浴OK

・ シャント部分はこすらない・湯船に長くつけない(穿刺部からの感染リスク)

 

●入浴時の注意

・ 転倒予防のため、浴室に手すりや滑り止めを設置すると安心

・ 血圧が低めの方は、入浴後の立ちくらみに注意

・ 真冬の寒い日の入浴は、浴室を暖めてからが◎(ヒートショック予防)

・ 透析患者さんは皮膚が乾燥しがちなので、入浴後に保湿剤を塗ると◎

 

仕事は続けられる? 〜働き方はいろいろ〜

透析を始めたからといって、必ずしも仕事を辞める必要はありません

 

実際、多くの方がフルタイムまたはパートタイムで働いておられます。

 

●どんな働き方ができる?

・ 勤務時間を調整して、透析のある日は早退/遅出にする

・ 体調に応じて在宅ワークや軽作業に切り替える選択肢も

 

また、仕事の都合上、透析日の変更が必要なときは、遠慮なく言ってくださいね。

可能な限りご協力します。

 

●会社に伝えるべき?

職場には、自分の体調や通院スケジュールを正しく伝えることが大切です。

 

職場の理解を得ることで、無理なく働き続けることができます。

 

必要であれば就労支援制度などの活用も視野に入れましょう。

 

旅行はできる? 〜「お出かけしたい」気持ちを応援!!〜

「透析してても旅行はできますか?」という質問、よくいただきます。

 

答えはイエスです。

 

最近は旅行先の透析施設に事前予約を入れる「旅行透析」が一般的になっており、国内・海外旅行も可能です。

 

また当院では、旅行日程に合わせた透析日の変更もいつでも承っています。

 

●旅行透析の流れ

  1. 旅行先を決める

  2. 現地の透析施設に事前予約(2〜4週間前が目安)

  3. 現在通院しているスタッフに、旅行透析の日程と施設を伝える

  4. 主治医の紹介状や透析情報を持参

  5. 宿泊・交通も体調に無理のないよう計画を

 

●気をつけたいこと

・ 透析の間隔が、3日以上にならないようスケジュールを立てる

・ 海外旅行の場合、医療体制や費用に注意

・ 旅行中も水分・食事制限を忘れずに

・ 飛行機に乗るときは、透析後から時間があまり経たないうち(2日以内)が◎

 (体に水分が溜まっていると、気圧の関係で心不全のリスクが高まります!)

 

日々の体調管理のコツ 〜自分の体と“仲良くなる”〜

透析生活で一番大切なのは、「自分の体の変化に気づくこと」です。

 

●体調管理のキホン

・ 毎日の体重測定:増加が多すぎると心臓に負担(心不全リスク)

・ 血圧の記録:透析前後の差や、自宅での血圧をチェック(朝夕の1日2回がベター)

・ 食事と水分制限:医師や看護師、栄養士と相談して無理のない範囲で

 

●「あれ?」と思ったら

・ いつもより息切れが強い

・ むくみが目立つ

・ 食欲がない、倦怠感が続く

 

こんなときは、早めに私達スタッフに相談しましょう!

 

おわりに

透析を受けながらの生活は、たしかに気をつけることも多いですが、「正しく知って、前向きに過ごす」ことができれば、不安はグッと減ります。

 

運動・入浴・仕事・旅行・体調管理── どれも「工夫」しながら、これまで通り、いやそれ以上に「自分らしい」生活を目指していきましょう。

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