腎臓病にならないために ~日常生活からできるススメ~
腎臓病は、生活習慣病と切っても切れないほど深いつながりがあります。
ですから、ちょっとした生活習慣の工夫で守ることが可能な、身近な臓器とも言えます。
今回は、日常生活の中で今日から始められる「腎臓にやさしい習慣」についてご紹介します。
1. 減塩生活のススメ 〜味つけを見直して腎臓を守ろう〜
塩分のとりすぎは、腎臓にとって大きな負担になります。
体の中の余分な塩分は、体内に水分を溜め込みやすくして、血圧を上げてしまいます。
腎臓はこの余分な塩分を適切に処理して尿から排泄させるよう働くことになります。
しかし、塩分が多すぎると腎臓は休む間もなく働き続けなければなりません。
これが長く続くと、腎臓が疲れてきてしまい、腎機能はじわじわと低下していくことになります。
ちなみに高血圧は、腎臓病の最大の原因の一つです。
【今日からできる減塩の工夫の例】
・醤油やソースは「かける」より「つける」に
・市販の加工食品やお惣菜の表示をチェック
・出汁や香辛料、レモン・お酢で風味アップして減塩に
2.血圧・血糖のコントロールの確認を
高血圧や糖尿病は、腎臓を少しずつむしばむ“目に見えない敵”です。
どちらも、初期にはほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに腎臓の血管や細胞にダメージを与え続けます。
特に糖尿病による腎障害(糖尿病性腎臓病)は、日本における人工透析導入の原因の第1位となっており、進行するまで症状が現れないことも多いのが特徴です。
また、高血圧も同様に腎臓の細かい血管を傷つけ、長期的に腎機能を低下させる原因となります。
「気づいたときには手遅れ」ということにならないためには、「早期発見」と「コントロールの継続」が大切です。
【チェックポイント】
・40歳を過ぎたら年に1回は健康診断を(血圧測定、血糖値、尿検査など)
・血圧は(75歳未満の合併症のない方の場合)130/80未満を目指す
・空腹時血糖は110mg/dL未満、HbA1cは5.5%未満が正常値
・糖尿病や高血圧と診断されたら、「尿たんぱく」や「eGFR(腎機能)」の確認を
3.たんぱく質とバランスのよい食事 〜“とりすぎ”も“とらなさすぎ”も腎臓に負担〜
たんぱく質は筋肉や免疫の材料として大切な栄養素ですが、分解されたあとには「老廃物」が出ます。
この老廃物の処理も、腎臓の仕事になります。
特に、すでに腎臓病をお持ちの方にとっては、とりすぎは腎臓への負担となってしまいます。
ただし、必要以上に制限するのもよくありません。
過度な制限は、栄養状態の悪化を招き、逆に腎機能にも影響が及ぶ場合もあります。
4.タバコは腎臓の大敵
喫煙は、血管を傷つけることで動脈硬化を進行させてしまいます。
動脈硬化は、腎臓の血流を悪くして、腎臓に慢性的なダメージを与えしまいます。
喫煙者の方は、ぜひ禁煙しましょう。
【特に注意すべきポイント】
・たばこは1本でも腎臓にダメージを与えます
・受動喫煙も腎臓に悪影響が。ご家族の健康のためにも禁煙を!
5.体を動かして腎臓も元気に
運動は、血圧や血糖のコントロールにも役立ちます。
適度な運動習慣は、腎臓を守るのに、簡単にできるとても大切な予防方法です。
【おすすめの運動】
・ウォーキング(1日30分程度を目標に)
・ストレッチや軽い筋トレ(無理なく毎日続けられる範囲で)
・「少し汗ばむ」くらいがちょうどよい強さ
おわりに
腎臓病は、いったん悪くなると完全に元には戻りにくい臓器の病気です。
だからこそ、「悪くならないうちに」生活を見直すことが大切ですね。
みなさんも健康のため、今日からできることを一歩ずつ始めてみませんか?