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多発性嚢胞腎

両方の腎臓に水の入った袋(嚢胞)がたくさんできて、腎臓の働きが徐々に低下していく遺伝性の病気です。多くは成人になってから発症し、70歳までに約半数が透析を必要とする末期腎不全に至ります。30~40歳ではほとんどが無症状で過ごし、初発症状として外傷後(体に衝撃を与えるスポーツ等)の腰背部痛や肉眼的血尿、大きくなった腎臓や肝臓を触れ食欲不振や腹部膨満感等を認めることがあります。また、高血圧を指摘され、健診で偶発的に診断されることも少なくありません。

合併症には、高血圧、肝嚢胞、嚢胞出血・嚢胞感染、心臓弁膜症、脳動脈瘤などがあります。特に脳動脈瘤は脳の血管にできるこぶ(瘤)で、約10%の多発性嚢胞腎患者さんに合併し、その破裂によるくも膜下出血の頻度は一般の約5倍と言われています。命に関わる疾患であり、脳MRAという画像検査で定期的にこぶの有無や大きさを確認する必要があります。

多発性嚢胞腎には根本的治療はないため、腎機能障害の進行を抑える治療が中心となります。 体の中の水分が足りなくなると、尿を濃くするために出てくるホルモン(バゾプレシン)によって嚢胞が大きくなるといわれていますので、十分な水分摂取が推奨されます。また、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などの血圧のお薬の内服や、嚢胞増大を抑えることが期待される「バソプレシン受容体拮抗薬」などの薬物療法も行われます。また、嚢胞からの出血などに腎動脈塞栓療法(TAE)を行うこともあります。

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