当院での人工透析について
かかりつけ医としての私たち
私たちは、当院へ通院される患者さんの”かかりつけ医”です。
日々透析通院していると、おからだの調子が良いときも、悪いときもあります。
私たちは、「人工透析に関する治療」はもちろんのこと、「その他のおからだの問題」に対しても、
”かかりつけ医”として適切な方法を考え、日々対応してまいります。
また人工透析の通院施設は、患者さんの人生と共に付き合っていくことになります。
何年にもわたる通院の中で、「身体機能」だけでなく「生活環境」、「ご家族に関わること」など、
様々な”変化”が訪れるかと思います。
そのような”変化”は、知らず知らずのうちに「おからだの問題」に影響してくることも少なくありません。
私たちはそのような一見、医療と異なる問題も含めて、患者さん・ご家族とご相談しながら、
最適な方法を考え、みなさまの「活きる」をサポートていきます。
それが当院の”かかりつけ医”としての責務と考えております。
人工透析とは?
様々な原因により、腎臓の働きが低下した状態を「腎不全」と言います。
腎不全には、急激に腎機能が低下する”急性腎不全”と、長年にわたって徐々に機能が低下する”慢性腎臓病(以前は慢性腎不全と呼ばれていました)”の2種類あります。
とくに”慢性腎臓病”はある程度まで腎臓の機能が低下しないと、自覚症状が現れず、早期発見が難しい病気です。
さらに”慢性腎臓病”の場合、一度失った腎機能を回復させることは、現代医療では困難です。
腎臓の機能が低下してくると、老廃物や水分を尿から十分に排泄出来ず、体に蓄積し、からだのバランスが崩れます。
さらに”慢性腎臓病”が進むと、”尿毒症症状”(食欲の低下や吐き気・嘔吐、浮腫み・呼吸困難、血圧の上昇、立ち眩みや息切れなどの貧血症状等)を引き起こします。
先ほど書いた通り、一度失った腎機能は回復しないため、慢性腎蔵病の根本的治療は、今のところ腎移植しかありません。
一方で、機能が低下した腎臓の代わりに、老廃物や不要な水分の除去をする治療を、人工透析といいます。
人工腎臓といわれる「ダイアライザー」を用いて行う方法(血液透析)と、腹膜を利用する方法(腹膜透析)があります。
日本で多く行われているのは、ダイアライザーを利用する血液透析(HD)療法です。
当院で行っている透析方法
当院では、すべてのベッドにおいてオンラインHDF(血液ろ過透析)という方法で人工透析を行うことができます。
人工透析は、血液をいったん体外へ取り出し、その血液を人工腎臓(ダイアライザー)に通して、老廃物や不要な水分を除去し、浄化された血液を再度体内に戻す方法ですが、これまで古くから主流だったHD(血液透析)と方法が少し異なり、様々なメリットがあります。
通院頻度は1回4時間前後、週3回が基本的な透析日程※となります。
※ ご用事やご旅行などでの日程変更は随時受け付けております
HD(血液透析)とHDF(血液ろ過透析)のちがい
1. HD(血液透析)とは?
昔から「人工透析」と呼ばれている最も標準的な治療方法です。
血液を「ダイアライザー」と呼ばれる筒状の浄化器(細いストロー状の透析膜が約1万本束ねられて入っている)を通して透析液と接することで、尿毒素(尿素窒素やクレアチニンなど)が透析膜にあいている小さい穴を通って透析液に滲み出てきます。
これによって体内に蓄積した尿毒素や余分な水分を除水します。
2. HDF(血液透析ろ過)とは?
”ろ過”という方法を使って体液の一部を廃棄し、同時に大量の補充液を体内に注入するという、古い体液を新しい体液に置き換える方式です。
自動化された機器によって体内の水分バランスを計測し、体液が過不足がないように監視しています。
中でもオンラインHDFと呼ばれるは、大量の体液(25~50L)を除去し、その代わりほぼ等量の透析液を体内に注入して体液を補充する方法です。
オンラインHDFでは、HDでは除去しきれなかった大きな分子量の尿毒素を血中から透析液へ除去できる代わりに、透析液に不純物質や細菌が混入していると、血中に混入するおそれがあります。
そのため、透析液を点滴液くらいまできれいにする清浄化の技術が必要です。
オンラインHDFの利点
HDFは、分子量が大きい尿毒素を除去することができます。
一方で、分子量が小さい尿毒素(尿素窒素やクレアチニンなど)を除去する能力はHDよりも劣るため、HDと併用して、分子量が小さい物質から大きい物質まで広範囲の物質を取り除くことができるように行われいます。
オンラインHDFには主に以下の6つのメリットがあるといわれて言います。
① 透析アミロイド症の予防効果
② 貧血の改善効果
③ 炎症改善効果
④ 透析中の低血圧への効果
⑤ 生命予後の改善
⑥ その他(皮膚の痒み、むずむず脚症候群、神経障害等への効果)
オンラインHDFの問題点
人工透析では、除去すべき尿毒素がすべて明らかになっているわけではなく、分子量が大きい物質の除去をによって、からだに必要なたんぱく質まで除去してしまう可能性もあります。
特にからだに大切な蛋白質の一部であるアルブミンを除去してしまうと、栄養障害(栄養失調)を起こす可能性があります。
この点がHDFの問題点であり、当院では定期検査で血液中のアルブミンを見ていき、適宜栄養や食事に関するご相談をしております。
送迎サービスについて
当院では、人工透析を受けられる患者様の送迎サービスを行っております。
送迎可能範囲:
・土浦市(全域)
・つくば市(一部の地域)
・かすみがうら市(一部の地域)
送迎サービスに関するご相談(送迎範囲など)も、お気軽にお問い合わせください。
通院透析をお考えの方
当院での通院透析までの流れの概要
当院への通院透析をお考えの際には、お電話(029-826-6360)もしくは、ホームページのお問い合わせフォームにご連絡ください。
人工透析をこれから始める予定の方・ご家族様へも「なんでもご相談外来」を行っております。
また、現在遠方に住まれている方、クリニックへの来院が難しい方は、オンラインでのご相談も受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。
※ご相談費用はかかりません
初回ご相談時にお持ちいただくもの
- 健康保険証
- 医療証
- お薬手帳など(現在の処方薬の内容がわかるもの)
人工透析の診療時間と治療の流れ
人工透析 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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午前の部 (8:30-14:00) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | / |
午後の部 (13:00-18:00) | ○ | / | ○ | / | ○ | / | / |
- 来院したらまず手指消毒をお願いいたします
- 着替えを行い、待合室で透析室入室時間までお待ちください
- 入室時間になりましたらスタッフがお呼びし、体温測定を行います
- 透析室へ入室後、体重測定を行いましたら透析ベッドへご案内します
- シャントに穿刺を行い、透析を開始します。
- 治療時間が終了したら、返血を行います(ダイアライザー・血液回路に残った血液を清潔安全に体内に戻す操作です)。
- 返血完了後抜針し、血圧測定、状態確認、止血を行います。
- 安全確認後、体重測定を行い、透析室を退室します。
- 着替えを行い、送迎の方は安全にご自宅までお送りします。
※ ご希望や悩み・ご相談などがありましたら、適宜、主治医やスタッフとのご相談の機会を設けております