第15回:今さら聞けない(!?)効果的なマスクのつけ方とは?
コロナ感染者数もかなり減り、経済活動も再開されてきました。
冬に向けて感染の波をこのまま抑えるためにも、(ワクチン接種後であっても)マスクの着用が重要であることは間違いありません。
ちなみに、米国でのマスク着用率を見ることができるサイト(ワシントン大学の保健指標評価研究所)によると、公の場でのマスク着用率は(10月下旬現在)40%程度と、かなり下がってきているようです。
そこで今さらではありますが、マスクの効果的な着用方法についてご紹介したいと思います。
効果的なマスクの”種類”と”つけ方”は?
CDC(米国疾病管理予防センター)のシミュレーションによると、標準的なサージカルマスクは、他人の咳から出る粒子のわずか7.5%しか保護しなかったという、衝撃的な結果があります。
ところが、マスクの紐を結び、両サイドを内側に押し込む方法※1で着用すると65%まで保護効果が上がったそうです。
(※1:本コラムの最後に動画のURLを載せているので参考にしてください)
つまり、マスクの両脇の隙間を顔といかに密着させるか(”しっかりフィット”)が重要だということです。
さらに、サージカルマスクを布マスクで覆う(2重マスクにする)と、83%まで保護効果が上昇したそうです。
これも、「布マスクが顔面とマスクの隙間を埋める役割をしているため」とのことです。
また、両者(咳をする側・される側)が、”しっかりフィット”でマスクをしていれば、95%の保護効果になるそうです。
ウイルス感染に関して有名な研究者チームからの研究によると、エアロゾル※2と呼ばれる小さい粒子は、フェイスシールドのみではなんと0%(!?)、サージカルマスクでは30%程度の保護効果しかなかったとのことです。
(※2:飛沫は、「直径5㎜以上の大きな粒子」と、「直径5㎜未満の小さな粒子(エアロゾル)」に分類されます。”大きな粒子”はすみやかに床に落ちてしまうのですが、”エアロゾル”は空中に浮遊するので2メートル以上離れた人でも感染する危険性があるとされ、デルタ株蔓延の原動力になっているとも言われています。)
そして、サージカルマスクの上に布マスクをつけると大きな粒子の90%、エアロゾルの70%を保護できたとのことです。
ここまでご紹介した2つの研究から、サージカルマスクの上に布マスクを着用する方法が、最も保護効果い高いことがわかります。
ところ変わって、東大の研究チームからの報告では、各種マスクがコロナウイルス粒子からどれだけ保護するのかを調べています。
それによると、ただの布マスクが17-27%の保護効果、サージカルマスクが47-50%の保護効果、”ルーズフィット”(ゆるゆる着用)のN95マスクが57-86%の保護効果、”しっかりフィット”でのN95が79-90%の保護効果だったそうです。
ここからわかることは、「N95 という高性能マスクでも、”ゆるゆる”では保護効果がかなり落ちてしまう」ということです。
子供のマスクは、どうすればよいのでしょうか?
少し古い(2008年)ですが、一般的な呼吸器系感染症に対するマスクの保護効果を見た研究によると、子供の場合、サージカルマスクも自家製布マスクも、どちらも保護効果はとても弱かったそうです。
これは、子供の顔が小さいためにフィット感が弱くなってしまうことが原因と考えられました。
つまり、子供の場合には、「まずは種類よりもフィット感を重要視した方がよい」といえそうです。
ウレタンマスクは効果がないって本当?
欧米ではウレタンマスクはあまり普及していないのか、ウレタンマスクの効果を研究した海外文献は見つかりませんでした。
しかし、日本の国立感染症研究所からの研究によると、ウレタンマスクを着用していた場合、不織布マスクを着用した場合と比べると、約1.9倍危険度が上がるというデータがあります。
特に会食では更に危険度が上がるため、不織布マスクの着用が勧められています。
ですので、(手に入るのであれば)不織布マスクが望ましいと言えるでしょう。
サージカルマスクを2重につけるのは意味があるの?
CDCのガイドラインによると、サージカルマスクは元々、顔面とフィットするように設計されていないことから、2重にしても顔面とマスクの間に隙間ができてしまうため、意味がないそうです。
まとめ
マスク着用習慣も当たり前になりましたが、マスクは種類だけでなく、いかに顔にフィットさせるかが大事なようですね。
「うつらないため」・「うつさないため」にも、効果的な着用方法を心がけたいところです。
最後に、ニューヨークタイムズ紙に掲載されていたマスクのお勧め着用法の動画をご紹介します。
この方法でマスクを着用すると、かなりの”しっかりフィット”になりますが、コガオでない私にはちょっとキツかったのと、ゴム紐が切れないか心配になります…。
⇒動画はこちら