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シャントってなに?シャント手術と管理のポイント

[2024.01.30]

人工透析まめ知識、今回は人工透析を受けるにあたって欠かせない「シャント」についての話題です。

 

 

透析治療を始めるにあたって、まず必要になるのが血液の出入口となる「シャント」です。

 

でも、「シャントってなに?」「どんな手術なの?」と、不安に感じる方も多いと思います。

 

今回は、腎臓・透析専門医がシャントについてわかりやすくお話しします。

1.”シャント”ってなに?

”シャント”とは、血液を体の外に出して透析する(血液をきれいにする)ための“特別な血管”のことです。


通常、採血などをするときに使う皮膚表面の血管は、「静脈」と呼ばれるもので、流れが非常にゆっくりです。

 

そのため、体中の血液をたくさん外に出したりすることはできません。

 

一方、「動脈」と呼ばれる血管は心臓から直接流れてくる血管で、とても流れが速く、たくさんの血液を外に取り出すことができます。

 

しかし、この「動脈」は、皮膚から深いところを走っており、また動脈硬化などでもろくなっていることもあり、採血のように気軽に針を刺すことはできません。

 

そこで、「静脈」の利点と欠点、「動脈」の利点と欠点とを上手くカバーした方法が「シャント」と呼ばれるものです。

 

簡単にいうと、「腕の動脈と静脈をつないで、静脈に血液がたくさん流れるようにしたもの」を、「シャント」と呼びます。

 

2.シャント手術ってどんなことをするの?

シャント手術は、前腕(ひじから手首の間)で行います。

 

主に利き手ではない方の手を選択することが多いです。


局所麻酔で、1-1.5時間ほどで終わる比較的かんたんな手術です。

 

皮膚の切開は、3-5cm程度で、実際に動脈と静脈をつなぐ部分のサイズも6-8mm程度と非常に小さいものです。

 

小さくつないでも、動脈の流れは非常に速いので、静脈に血液がたくさん流れるようになります。

 

術後2-4週間経って、腕の静脈が「太くて強い静脈」に発達すると、透析で使えるようになります。

3.シャントができたらどうするの?

シャントができたあとは、毎日かんたんなチェックをしていただくのが大切です。


シャントのある部分に手をあてると「ザー、ザー」という連続する振動(スリル)が感じられます。

 

これは血液がしっかり流れているサイン。

 

この”スリル”が感じられないときや、「ザッ、ザッ」という途切れるような振動のときは、

 

何らかの異常が起こっている可能性が高いので、相談しましょう。

4.シャントを長持ちさせるコツ

シャントはまさに「透析の命づな」です。

 

日々の生活でも長く使えるように注意していくことが大切です。

 

血圧測定や採血をシャント側の腕で行わないこと

 

シャントの腕をしめつけないこと(腕枕や重い荷物に注意)

 

定期的にシャントエコー検査などで、状態をチェックしてもらうこと

 

異常を感じたらすぐに病院へ連絡すること

 

※ 当院では、エコーを使った検査、穿刺(透析時に針を刺すこと)、治療を日々行っています

5.まとめ

シャントは、透析生活のスタートラインです。

 

手術と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、しっかり管理すれば長く使い続けられる大切な「血管のパートナー」です。

 

これから透析を始める方や、すでに透析中の方にも、シャントへの理解を深めて、安心して治療を受けていただければと思います。

 

気になることがあれば、いつでもスタッフや医師にご相談ください。

 

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