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第35回:植物代替肉は腎臓病の救世主になるのか?① ~SDGsと代替肉の関係~

[2022.11.07]

最近、SDGsという言葉をよく耳にしませんか?

 

ご存じの方も多いかと思いますが、Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)の略語で、2015年に国連で採択された2030年に向けた国際的な目標だそうです。

 

昨今の環境問題・エネルギー問題・健康問題への関心の高まりから、あらゆる場面でこの言葉を見る機会が多くなっていますね。

 

その中の解決策の一つとして、「植物由来の代替肉」が注目されてることはご存じでしょうか。

 

日本でも、大手食品会社やスタートアップ企業が代替肉の開発に乗り出しているようです。

 

実は私事なのですが、個人的に「植物由来の代替肉が普及すれば、腎臓病(透析を含む)患者さんのリン値は改善するのでは?」という仮説を以前から考えていました。

 

今回は、その”理由”と”仮説は実現するものなのか”、数回にわたってお伝えしていきたいと思っています。

食べ物と環境についての豆知識

 

突然ですが、

 

食品関連から発生する温室効果ガスって、どれくらいか皆さんご存じですか?

 

ネイチャー誌の論文によると、世界の温室効果ガス排出量の約3分の1(34%)は、食品関連から毎年排出されているそうです。

 

更に、この食品関連温室効果ガスのうちの71%(全体の24%)は、農作物の栽培や、家畜の飼育といった”農場”での活動に由来するらしいです。

 

そして、農場由来の温室効果ガスの約6分の1(全体の4%で約20億トン)は、なんと「牛のゲップ」に由来するのだそうです。

 

ちなみに経済産業省の資料によると、2019年に日本全体で排出された温室効果ガスが12億トン強ですので、「牛のゲップ」といえど、世界レベルでみるとその影響はあなどれないことがわかります。

 

そして代替肉が注目される理由の一つとして、その多くが大豆やえんどう豆、ジャガイモなどの植物由来であることから、「牛のゲップ」や、家畜を育てる際に排出される温室効果ガスを減らすことができるというのです。

 

ふむふむ、なるほど…

 

で、「これが腎臓病・透析患者さん、さらにはリンとどう関係するの?」、「医療機関も環境問題を考える時代になったのね」と思われるかもしれません。

 

たしかにヘルスケア産業のCO2排出量が多いことも、米国では注目されてるようです。

 

※ ヘルスケア産業からのCO2排出量は、世界全体で見ると5%を占めているとのことです

 

しかし今回のコラムの主旨は、温室効果ガス削減の話ではなく、最近注目を浴びる代替肉と、リンとの関係についてです。

 

ところで、先ほどから”リン”という言葉がでてきていますが、”リン”はご存じでしょうか?

 

腎臓病・透析患者さんなら1度は聞いたことがあるかと思いますが、「食べ過ぎると、医者や看護師さんから注意されるよくないもの」くらいしか知らない方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、代替肉と”リン”との関係をご紹介する前に、次回は”リン”についてもう少し詳しくご説明していきたいと思います。

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