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第3回:熱中症と腎臓病② ~塩分補給はどうすればよい?~

[2021.08.05]

前回は、熱中症が起こるメカニズムについて、塩分と水分を絡めて解説しました。

腎臓病を抱えている方や人工透析されている方の場合、主治医から塩分・水分制限を指導されている方も多いかと思います。「テレビ等では熱中症対策として塩分・水分補給を勧めているけど、主治医からは制限するよういわれているし…どうすればいいの?」という質問を度々受けます。

前回お話したとおり、「暑い環境になるべくいないこと」が最も大切です。ただ、これだけでは不安な方も多いかと思います。そこで、今回は塩分をどのようにとっていくのがよいのか、熱中症との関係から見てみていきたいと思います。

まず結論をお伝えします。

基本的に、「塩分を追加補給する必要はありません。

確かに汗には塩分が含まれますので、汗をかけば体から塩分が失われます。

汗の塩分濃度は約0.4%程度と言われていますので、例えばペットボトル1本分(500ml)の汗をかいたとしたら、500ml×0.4%=2gの塩分を体から失うことになります。(※ちなみに発汗量500mlとは、市民ランナーが高温下で1時間ランニングしたときに、発汗するくらいの量です)

一方で、日本人は1日に塩分を食事から8-10g程度(人によっては6g以下に制限されているかもしれませんが)とっているので、これくらいの発汗量で、体内の塩分量がすぐに欠乏することはほとんどありません。

さらに人の体は、発汗量に応じて血液中の塩分濃度を上手く調整する自動調節機能が働いています(前回の暑い時の体の反応と同じですね)。特に腎臓で尿の量や塩分濃度を調整して、いい具合に保ってくれます。他にものどの渇きを感じさせることで、体内の適切な塩分・水分の比率を保てるようにしているのです。

もし、塩分が体に不足していない状態で塩分補給を無理にすると、血液中の塩分濃度が上昇します。

そこで血液中の塩分濃度を下げようとする自動調節機能、つまり水で薄めようとする調節機能が働き始めます。それを、のどの渇きとして私たちは感じるのです。

腎臓が悪くない人の場合、のどが渇いて飲水量が増えても(腎臓が調整できるので)尿量が増えて、からだの中の水分を一定に保ちます。

しかし、腎臓が悪い人の場合、のどが渇いて飲水量が増えても腎臓が思ったように尿を作れず、余分な水分が溜まってしまいます。その余分な水分がむくみの原因となり、もし心臓や肺に溜まればうっ血性心不全の原因にもなるので注意が必要です。

 

 

前回もお伝えした通り、腎臓病の方が熱中症になるのは、塩分・水分不足という脱水症があるからではなく、体温上昇に対する体の反応が追い付かないことが主な原因です。この場合、余計に塩分を摂取して脱水症を防いだとしても、熱中症予防にはつながらないということになります。

つまり、腎臓が悪い人は、通常の食事で摂るくらいの塩分量で十分(追加補給はいらない)ということです。

因みに一般的に塩分不足を伴う脱水症になるのは、塩分の補給源である食事をきちんと摂っていない場合が多いようです。中でも、朝食を摂らなかった日の運動などは注意しましょう。

結論をもう一度いいいますね。

熱中症予防に追加の塩分補給は必要ない」、そして「食事を3食欠かさずしておくこと」、この2点です。

最近、スーパーやコンビニなどで塩タブレットや塩飴のようなものをよく見かけます。腎臓が悪い方は、これらの摂取は控えた方がよいということですね。

 

では、次回は熱中症についての最終回として、水分補給についてお話ししてみたいと思います。

 

 

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