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第2回:熱中症と腎臓病① ~熱中症とはなんぞや?~

[2021.07.24]

とても暑い日が続きますね。最近、「熱中症にはくれぐれも気を付けてください」という言葉を聞かない日はないくらいです。

熱中症にならないために、「こまめに水分・塩分をとりましょう」、「暑いところに長時間いるのは避けましょう」というのは、みなさんも当たり前のようにご存知かと思います。

しかし、腎臓病を抱えている方や人工透析を行っている方の場合、「水分・塩分制限」を(私も含め)主治医から指導されているのではないでしょうか。主治医の言っている事と、一般論がだいぶ矛盾していますね。そこで、腎臓病の方が熱中症対策としての塩分・水分はどのように摂っていくのがよいのかを見ていきたいと思います。

 

その前に「熱中症とはなんぞや?」を知っておくと、だいぶ理解が深まるかと思いますので、簡単にご説明します。

 

日本救急医学会が出している「熱中症ガイドライン2015」によると、熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」と定義されています。

… なんだかわかったような分からないような定義ですね。

簡単に言うと、「暑い場所にいたら、身体が暑さに適応しきれなくなって、色々と”問題になる症状”が出たときのこと」という意味です。

因みに”問題になる症状”には、表に書いてあるように、重症度によって様々あります。

では、「身体が暑さに適応しきれなくなる」とはどんなことでしょうか。

人間の体には体温を36-37度あたりで保つ自動調節機能が備わっています。仮にとても暑い環境にいて、体温が上がりそうなときには、その自動調節機能が以下の2つの反応で適応しようとするのです。

 

① 皮膚にたくさんの”血液”を送って熱を体の外に放出する

② 汗をかいて、その”汗”が蒸発するときに体の表面から熱を奪う(打ち水と同じ効果ですね)

そしてこの反応が上手くいかなくなると、体温が上がりすぎてしまう(=適応しきれなくなる)ので、色々と”問題になる症状”がでてしまうのです。因みにこの2つの反応には、どちらも塩分と水分が必要です。なぜなら…

①は、”血液”という名の塩分と水分(血液には約0.9%の塩分が含まれています)が、

②は、”汗”という名の塩分と水分(汗には約0.3-0.4%の塩分が含まれています)が、

必要だからです。

この塩分と水分が不足している状態のことを私たちは「脱水症」と呼んでいます。

脱水症(塩分と水分の不足)があると、体は①,②の反応をできません。そうすると暑さに適応できず、体温が上がりすぎてしまいます。そして色々と”問題になる症状”が出てしまう(熱中症になる)のです。まとめますと、下の図のような流れになります。

通常の熱中症までの流れ

ところで、塩分や水分が体に溜まりやすい(だからこそ制限を指導されています)、腎臓病を抱えている方(特に透析患者さん)は、脱水症にはなりにくいということになります。となると、体もしっかり反応できて、熱中症にもならないのでしょうか?

そんなことはありません。高齢者や腎臓病の方は、そもそもこの体の反応スピードが、普通の人と比べて落ちてしまっています。そのため、少し暑い環境にいて体温が上昇し始めてただけでも、体の反応自体がなかなか追い付かなくて、脱水症がないにもかかわらず、あっという間に熱中症になってしまうことがあります。

まとめますと、下の図のような流れです。

高齢者・腎臓病患者さんの熱中症までの流れ

 

通常の熱中症との違いがお分かりになったでしょうか。脱水症を飛ばして熱中症が起きてますよね。

この場合は、脱水症とは関係なく熱中症が起きているので、「どんなに塩分や水分を摂っても全く効果がない」ということになってしまいます。つまり、高齢者や腎臓病を抱えている方は、塩分・水分補給の前に、まず「暑い環境にいない」こと、簡単にいえば「涼しい場所にいる」ことが、とても大切になります。

そうはいっても、常にそのような環境で生活するわけにはいきません。暑い夏には誰でも多少は汗もかくし、のども渇きます。「私たちも塩分・水分補給くらいしたっていいじゃないか!」という意見もあるでしょう。

そこで次回からは、腎臓病の方の塩分・水分補給方法ついてお話していきたいと思います。

 

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