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第56回:痔(じ)の新たなリスク ~それはスマホ~

[2025.09.08]

いまやスマートフォン(スマホ)は生活に欠かせない存在ですね。

 

トイレに入っても、ニュースを読んだり、SNSを見たり、暇つぶしをしたり…

 

かくいう私もスマホを手に、長時間居座ってしまうタイプです、、、

 

 

実はこの「トイレでのスマホ習慣」が、痔(特に「いぼ痔」)のリスクを高める可能性がある、という研究が発表されました。

 

今回はその研究内容をご紹介します。

背景

痔は意外と身近な病気で、実は多くの人が悩んでいます。

 

日本でも約3人に一人が一生のうちで一度は「痔」を経験するそうです。

 

これまで痔のリスクとしては、

 

・便秘や排便時の強いいきみ

・食物繊維不足

・妊娠による骨盤内の圧力上昇

・肥満や運動不足

・長時間トイレ(新聞をよむことによる)

 

などが知られていました。

 

しかし、現代では、「痔」の原因として、新たに「スマホ」が加わることになるかもしれません。

結果

この研究は、米国ボストンの病院で大腸内視鏡検査を受ける125人の成人を対象に行われました。

 

結果は次のとおりです。

 

・ スマホを使う人は、使わない人よりも 若い(平均年齢55歳 vs 62歳)

 

・ 66%の人がトイレでスマホを使用していた

 

図1:Smartphone use on the toilet and the risk of hemorrhoidsより引用

・ スマホ利用者はトイレに長く座る傾向があり、37%以上が1回5分以上滞在していた(図1)

 

図2:Smartphone use on the toilet and the risk of hemorrhoidsより引用

・ トイレでの主なスマホ利用内容は「ニュースを読む(54%)」 「SNS(44%)」(図2)

 

・ 大腸内視鏡で 43%の参加者に痔が確認された

 

・ (多変量解析の結果)トイレでスマホを使う人は痔のリスクが46%高い(図3)

 

図3:Smartphone use on the toilet and the risk of hemorrhoidsより引用

・ ”いきみ”による、「痔」のリスク上昇は、たったの10%程度(図3)

 

・ 「食物繊維不足」は「痔」のリスクが2倍以上!(図3)

 

つまり、「トイレでの長時間滞在は痔のリスクを高める強い要因」であり、

 

”いきむ”以上に、座り続けること自体が「痔」のリスクを高める可能性がある」ということです。

椅子とトイレ、何が違う?

ちなみに、昔から普段の椅子やソファに長時間座っていても、ある程度「痔」になるリスクは高といわれていました。

 

しかし、椅子やソファに座っているときは、骨盤底がクッションによって支えられた状態になります。

 

一方で、トイレ便座はポッカリ穴が空いているため、おしり部分(骨盤底)が宙吊り状態となります。

 

この状態が肛門部に圧をかけやすくなるため、周囲の充血が起こり、「痔(イボ痔)」の原因になるのだそうです。

まとめ

・ トイレでのスマホ利用は、滞在時間を延ばし、痔のリスクを1.5倍程度高める可能性がある

 

・ ”いきみ”は、「痔」のリスクを10%程度しか上げない

 

・ 食物繊維不足は、「痔」のリスクがかなり高まる

 

ということは、「”食物繊維不足”の食生活で便秘がちな人が、トイレで”いきみ”ながら、”スマホ”を見て長居する」パターンは、かなりよくなさそうです。

 

ちなみに、今回の著者たちは「トイレでのスマホ利用は5分以内にとどめる」こと、「トイレの際は、タイマーを使用すること」を提案しています。

 

トイレに座ってタイマーをかけると、落ち着いて出るものも、出なくなってしまう気もしますが、、、

 

とりあえず、私もムダにトイレに長居するのはやめてみようかと思います。

 

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