第25回:(速報)子供へのコロナワクチン(持続)効果は?
2月28日に子供のワクチンの持続効果に関する(未査読の)研究データが発表されましたので、「速報」の形でご紹介したいと思います。
※ 本コラムは「速報」ということもあり、客観性を重視して私見については省かせていただきます
研究データ内容は?
この研究データは、米国ニューヨーク州の保健局データからです。
ニューヨーク州において、2回のワクチン接種をした約85.2万人の12-17歳の青年と、約36.5万人5-11歳の子供について、ワクチン未接種の同年代とオミクロン株感染期間のワクチンの効果について比較しています。
図1:Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the Emergence of the Omicron Variantより引用・一部改編
図1を見ると、ワクチン接種完了後13日以内の人と比べると、ワクチン未接種の人の方が、5-11歳で約2.7倍、12-17歳で約4.3倍の感染率になります。
しかし約1か月(28-34日後)になると、5-11歳では、ワクチン接種していてもワクチン未接種の人とほぼ同等(1.1倍)の感染率まで落ちてしまったということです(12-17歳では、未接種だと2.3倍の感染率)。
この値用いた「ワクチンの効果(VE)」を算出したものを見ると、
5-11歳では、65%(接種完了後13日以内)⇒12%(28-34日後)、
12-17歳では、76%(接種完了後13日以内)⇒56%(28-34日後)
の低下ということになったということです。
つまり、5-11歳のワクチンの(持続)効果が非常に弱かったということです。
なぜ、5-11歳がここまで効果の落ち込みが早いのでしょうか。
この理由は、同研究データの別グラフから見て取れます(図2)。
図2:Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the Emergence of the Omicron Variantより引用・一部改編
図2は、各年齢の感染予防効果を経時的に見たものです。
これによると、感染予防効果が11歳と12歳で大きく異なることがわかります。
”11歳”と”12歳”という、わずか1歳の差が体内の免疫反応に大きな違いを及ぼしたとは、とても考えられません。
実は(この論文でも述べられていますが)、11歳と12歳との大きな違いは「ワクチンの1回投与量」です。
5-11歳のワクチンの投与量(10μg)は、12歳以上(大人と同じ30μg)と比べて1/3量なのです。
つまり今回の研究データは、ワクチンの(持続)効果が投与量に依存していることを示しているのです。
まとめ
この論文での結論には以下のことが書かれています。
「5-11歳のワクチン投与量では、感染予防の持続効果は乏しいかもしれないが、重症化予防効果まで否定されるものではない」
「重症化した子供、死亡に至った子供、後遺症に苦しむ子供が一定数いる以上、このデータだけで子供のワクチン接種を控える理由にはならない」
「ワクチン接種すればOKなのではなく、マスク着用を含めた多重の感染対策が今後も必要である」
ということです。
以上簡単でしたが、本コラムが子供へのワクチン接種に関する判断材料の一つになれば幸いです。