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最近気になる…むくみの原因とは?

[2025.10.01]

朝起きたときに顔が腫れぼったい、夕方になると足がパンパンになる、靴下を脱ぐと跡がくっきり残っている…。

 

こうした症状を「むくみ」、医療用語で「浮腫(ふしゅ)」と表現します。


これは、体の中に余分な水分がたまっている状態といえます。

 

体の水分は血液やリンパ液の流れによってバランスよく調整されていますが、その仕組みが乱れると水分が皮膚の下にしみ出し、むくみとしてあらわれます。

 

ちなみに、「むくみ=太った」というわけではありません。

 

体に水がたまっているだけなので、その原因を理解し、適切に対応することが大切です。

1.  むくみの仕組みと腎臓の関わり

腎臓は「体の水分」をコントロールするための臓器です。

 

飲んだ水分や食事からとった塩分を、尿として排出することで、体内の水分量を一定に保つ働きを担っています。


ところが腎臓の機能が落ちると、水や塩分をうまく外に出せなくなり、血液中に水分が余ってしまいます。

 

その結果、水分は血管の外に漏れ出し、むくみにつながります。

 

また、腎臓の病気で「たんぱく質が尿に漏れる」場合も要注意です。

 

血液中のたんぱく質は水分を血管内に引き込む役割をしていますが、それが減ると水分が血管の外へ逃げやすくなり、全身にむくみが出ることがあります。

2.  むくみの原因はさまざま

むくみの原因は、腎臓に由来するものだけではなく、多種多様です。

 

心臓、肝臓、血管、ホルモンや薬の影響まで、全身のいろいろな病気が関わっている可能性があります。

 

代表的な原因を順番に見ていきましょう。

① 腎臓の病気

・慢性腎臓病(CKD): 腎臓のろ過機能が落ち、水分や塩分が体にたまりやすくなります。進行すると足のむくみだけでなく全身のむくみに。

 

・ネフローゼ症候群: 尿に大量のたんぱく質が漏れ出してしまう病気。血液中のたんぱく質が減ることで水分を血管内に保てなくなり、全身に強いむくみ(顔やまぶた、下肢、腹水など)が出ます。

② 心臓の病気

・心不全: 心臓のポンプ機能が弱り、血液が足にうっ滞します。夕方から夜にかけて足がむくみ、重症の場合には、横になると息苦しさが出ることも。

 

・弁膜症や心筋症: 心臓の弁や筋肉に障害があると、やはり血流が滞ってむくみを招きます。

③ 肝臓の病気

・肝硬変: 肝臓が硬くなると、血液がうまく流れなくなり「門脈圧亢進」が起こります。その結果、腹水や下肢のむくみにつながります。

 

・低アルブミン血症: 肝臓はアルブミン(血液中の大事なたんぱく質)をつくる役割があります。

肝機能が低下すると、血液中のアルブミン濃度が減少し、血管内に水分保持ができなくなり、皮下組織に水分が染み出します。

④ 血管やリンパの異常

・下肢静脈瘤: 足の静脈の弁が壊れ、足から心臓に戻ろうとする血液が逆流してしまいます。夕方になると足が重く、むくみやすくなります。

 

・深部静脈血栓症(DVT): 足の深い静脈に血の塊ができる病気。これも足から心臓に血液が戻れなくなり、むくみとして出現します。

一般的には、片足だけ急にむくみが強くなり、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)に進展すると命に関わることもあります。

 

・リンパ浮腫: がん手術後や放射線治療後にリンパの流れが滞り、皮膚が硬くなったむくみが長期にわたって続きます。

⑤ 内分泌・代謝の病気

・甲状腺機能低下症(粘液水腫): 特徴的な「硬いむくみ」が顔や手足に出ます。

一般的に”むくみ”は、押すと跡がのこるのですが、”甲状腺機能低下性によるむくみ”は、押しても跡が残らないのが特徴です。

 

・糖尿病性腎症: 長年の糖尿病で腎臓が障害され、むくみや蛋白尿が出てきます。

⑥ 薬によるむくみ

・カルシウム拮抗薬(降圧薬): 最もよく使われる血圧の薬で、血管が広がる作用を持ちますが、量が多くなるとむくむ頻度が増えます。

 

・ステロイドホルモン: 水や塩分をため込みやすくし、顔が丸くなる「ムーンフェイス」を伴うこともあります。

 

・ホルモン製剤(女性ホルモンなど): 月経前や妊娠時のホルモン変化でもむくみが出やすくなります。

⑦ 全身状態によるもの

・長時間の立ち仕事・座りっぱなし: 重力で足に血液やリンパがたまり、夕方にむくみが目立ちます。

 

・低栄養状態: ダイエットや病気で食事量が不足し、血液中のたんぱく質が減ると、むくみやすくなります。

 

・加齢: 筋肉量の減少や血管の柔軟性低下により、むくみやすくなることがあります。

⑧その他

・アレルギー反応(血管性浮腫): 顔や唇、まぶたが急に腫れることがあり、喉に起きると窒息の危険も(アナフィラキシー)。

 

・妊娠高血圧症候群: 妊娠後期に高血圧や蛋白尿を伴い、むくみが強くなることがあります。母子ともにリスクがあるため要注意です。

 

このように、むくみは「一見よくある症状」に見えても、背景に様々な病気が隠れていることがあります。


「両足が徐々にむくむ」のか、「片足だけ急にむくんだ」のか、「全身に広がる」のか、といったパターンから、原因をある程度絞り込むこともできます。

3.  むくみを見分けるポイント例

自分のむくみが気になるとき、以下のような視点で観察してみましょう。

いつ出る?

・朝起きたときから強い → 全身のむくみであり、①腎臓・②心臓・③肝臓・⑤内分泌・代謝などの関与を疑うこともあります。

 

・夕方に強い → 足にたまった血液や水分が原因のことが多く、④血管やリンパの異常や⑦全身状態にによるものの可能性を疑います。

どこに出る?

・顔やまぶた → 腎臓やアレルギーの影響。


・足首やふくらはぎ → 心臓や静脈の関与。

押すとどうなる?

指で押して跡が残る「圧痕性浮腫」は、いわゆる水分がたまっているむくみのサインです。


逆に押しても跡がつかない場合は、リンパの流れの異常だったり、甲状腺機能低下症による浮腫を疑います。

4.まとめ

「むくみ」は単なる見た目の変化ではなく、体の中で起きている異常を知らせる大切なサインです。

 

腎臓の病気、心臓の病気、肝臓の病気、静脈やリンパの異常など、原因はさまざま。


「最近むくみが気になる…」と思ったら、早めに医療機関を受診することが大切です。

 

小さな変化を見逃さずに健康を守っていきましょう!!

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