サプリや健康食品と腎臓の関係 ~「体にいい」は腎臓にもいい? 気をつけたい落とし穴~
ドラッグストアやインターネットで、簡単に手に入るサプリメントや健康食品。
「疲れをとりたい」「免疫力を上げたい」「血圧や血糖が気になる」など、健康意識の高まりとともに、多くの方が日常的に取り入れるようになっています。
とくに腎臓病の方の中には、少しでも腎臓によいことをしたいと考えて、こうした製品を積極的に取り入れようとする方もいます。
しかし、ここで大切なのは、、
「体にいい」ものが、かならずしも「腎臓にもいい」とは限らないということです。
たとえば、2024年には「コレステロールを下げる」とうたったサプリによって、多くの方が腎機能障害を起こし、世間を騒がせました。
(その際の副院長のテレビ出演の様子は ⇒こちら)
このように、思わぬ成分や副作用が明るみなることがあります。
特に腎臓病や腎機能が低下している方にとっては、サプリや健康食品の中には注意が必要なものも少なくありません。
今回は、腎臓とサプリ・健康食品の関係について、腎臓専門医の視点でお伝えします。
1. サプリメントは「食品」だけど、油断は禁物
サプリメントは基本的に「食品」に分類されており、薬のような厳密な審査を経て販売されているわけではありません。
そのため、「天然由来だから安心」「食品だから安全」と思われがちですが、必ずしも腎臓にやさしいとは限りません。
例えば、以下のような点に注意が必要です:
・成分の濃度が高い:栄養素やハーブが高濃度で含まれていることも、腎臓を傷つけてしまう可能性があります。
・医薬品との相互作用:服用している薬との相性が悪い場合、薬の効果を弱めたり、副作用を強めたりすることがあります。
・添加物のリスク:サプリメントは、メインとなる成分以外にも様々な添加物が入っています。
この添加物、意外と私たち医師も良し悪しの判断が難しく、腎臓に悪さをしてしまうことが少なくありません。
・長期使用のリスク:特に腎機能が落ちている方の場合、長期間にわたる摂取で体に蓄積し、腎臓を更に傷つけてしまったり、他の臓器にも影響が及ぶ場合があります。
2. 特に注意したい成分とは?
腎臓病の方にとって、以下のような成分は特に注意が必要です。
・カリウム:野菜や果物の成分として知られる「カリウム」は、血圧を下げる働きもありますが、腎機能が低下している方には注意が必要です。
腎臓の働きが弱くなると、体の外に出しづらくなり、「高カリウム血症」を起こすことがあります。
カリウムが多く含まれる青汁、野菜粉末、スムージー系のサプリは要注意です。
・マグネシウム・リン・カルシウム:骨や筋肉の健康に関係するこれらのミネラルも、腎機能が低下している場合には血中濃度が不安定になりやすいため、補給が逆効果になることも。
特にリンの摂りすぎは、血管や骨に悪影響を及ぼすリスクがあります。
・ビタミンA・ビタミンD:脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすく、過剰摂取による中毒リスクがあります。
・ハーブ・漢方類:「自然由来」「伝統の薬草」などと書かれていると、安全に感じるかもしれませんが、腎毒性(腎臓への毒性)をもつ成分もあります。
・添加物:先ほども書いた通り、これが結構くせ者で、知らず知らずに腎臓を傷つけてしまうことがあります。
・プロテイン・アミノ酸系:運動補助や栄養補給目的で使われることの多いプロテイン製品も、タンパク質の過剰摂取により腎臓に負担をかける可能性があります。
とくに、腎機能が低下している人では、摂取量に注意が必要です。
3. 「腎臓に良い」とうたう商品にご注意
「腎臓に良い」「デトックス効果」など、うたい文句で魅力的に見える健康食品があります。
しかし、科学的な根拠が不十分なことも多く、自己判断での使用はかえってリスクになることがあります。
特に腎機能が低下している方は、代謝産物の処理能力が落ちているため、余分な成分を排出しにくくなります。
そのため、体に“良かれ”と思って摂った成分が体内にたまり、思わぬ副作用を招くこともあります。
4. 医師への相談が大切
サプリメントや健康食品を摂ろうと考えている方、あるいはすでに摂っている方は、必ず主治医に相談しましょう。
その際、以下のような情報を伝えると、より確実に判断できます:
・現在使っているサプリの名前や成分表
・飲んでいる処方薬の一覧
・病状の詳細(腎機能の数値など)
特に、慢性腎臓病の方は、自己判断での摂取は避けた方がよいでしょう。
5. 安心して栄養をとるためには?
どうしても飲みたいサプルがある場合は、まずは医師に確認して、飲む量や頻度、期間など、一人ひとりの状態に合わせたアドバイスを受けてからにしましょう。
特に、同じサプリを長期間内服すると、万が一体に合わない成分や添加物が入っていた場合のリスクが高くなります。
そういった意味でも「同一サプリの長期服用は避けた方が無難」といえます。
また、まずは食事からサプリでとりたい栄養をしっかりとる工夫も大切です。たとえば:
・たんぱく質は「量より質」を意識して、低たんぱく高エネルギーの食品を選ぶ
・野菜や果物のカリウム量を調整して、効率的にビタミンなどを摂取する
その他、食事に関する詳しいアドバイスは、管理栄養士に相談するのがおすすめです。
おわりに
サプリや健康食品は、正しく使うことで健康の助けになることもあります。
また、目立った効果がなくても栄養ドリンクのように「なんとなく元気な気がする」のような、精神的な安心感も大切だったりします。
ただ、特に腎臓病のある方にとっては慎重な判断が必要です。
「相談するのは気が引ける…」という方もいるかもしれませんが、医療者にとってはとても大切な情報です。
安心して使うためにも、ぜひ私たち医療スタッフにご相談ください。
当院では管理栄養士への相談も可能です。
