糖尿病について
誰でも食事をすると、一時的に血糖値が高くなりますが、「インスリン」というホルモンがすい臓から分泌されることで、時間とともに正常値に戻ります。ところが、このインスリンの分泌量が減ったり、インスリンの効き目が悪くなったりして、血糖値が高い状態が続いてしまう状態が糖尿病です。
血糖値が高くても、初期のころは自覚症状がほとんどありません。しかし、そのまま放置して病気が進行すると、多くの場合、合併症が起こります。進行すると、透析治療などが必要になる“糖尿病性腎症”、失明に至ることもある“糖尿病網膜症”、壊疽(えそ)を起こして足や手を切断することもある“糖尿病神経障害”の「三大合併症」を起こすこともあります。また、脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる病気を引き起こす可能性が高まります。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切です。特に当院の専門である腎臓病と糖尿病の関連性はとても強く、我が国の慢性維持透析患者さんの原因疾患の第1位が糖尿病性腎症です。しかし糖尿病性腎症の発症早期は無症状であることが多く、末期的な状態になるまで訴えが出てこないので特に注意が必要です。そのため糖尿病性腎症を発症した場合には、進行を防ぐために早期診断が重要です。自覚症状がない頃から定期的に尿検査を受けることで、糖尿病性腎症を早期発見し、病期の進行を遅らせることができます。また、糖尿病性腎症の診断前から高血糖・高血圧をしっかりと治療しておくことも大切です。