バスキュラーアクセス・シャントについて
バスキュラーアクセス・シャントとは?
血液透析では、短時間で大量の血液を浄化するため、安全に血液を体外へ取り出す為の血液アクセス(バスキュラーアクセス)が必要です。
バスキュラーアクセスには4種類あります。
- 自己血管内シャント(一般的な内シャント)
- 人工血管内シャント(グラフトとも言います)
- 動脈表在化(主に上腕動脈)
- 透析用長期留置カテーテル
シャントとは、動脈と静脈をつなげることを言います。
勢いよく流れる動脈の血液を静脈へ流す事で、静脈の流れが良くなり、十分な血液を確保しやすく出来るのです。
また、こうしたシャントが体表面を流れることで、毎回の穿刺や止血を安全に行う事ができます。
内シャントを作成してから透析ができるようになるまでには2-3週間必要です。
血管の状態が悪い・心臓の機能が低下している等、内シャント作成が困難な場合は、2,3,4のバスキュラーアクセスを使用して血液透析を行います。
当院のシャントへの取り組み
透析患者さんにとって、血液アクセス(バスキュラーアクセス)は命綱であり、狭窄や閉塞により使用できなくなると命にかかわります。
当院では透析毎にシャント診察を行い、シャントの状態を確認しています。
また、超音波(エコー)検査を用いて定期的にシャントの状態をより詳細に評価しています。
バスキュラーアクセス手術をこれまで400例以上経験し、アクセスに精通した専門医が継続的に行うことで、狭窄や閉塞等のシャントトラブルを早期に判断し、穿刺困難や閉塞予防に努めています。
また、当院では出来るだけ1回で穿刺成功させるように、スタッフ一同、穿刺技術を高める取り組みを行っています。
穿刺記録ノートを作成し、検討会を行いながら日々努力しています。
【当院の過去の穿刺成功率】
年次 |
穿刺成功率(%) |
2015年 |
98.6 |
2016年 |
98.9 |
2017年 |
98.6 |
2018年 |
98.7 |
2019年 |
98.3 |
2020年 |
98.3 |
以下のようなことが起きた場合には、まずはエコー検査をして治療方法の選択を判断します。
・シャント音やスリルが減弱・消失した
・透析中にアラームがよく鳴る(脱血不良・静脈圧上昇など)
・穿刺の失敗が増えた…(穿刺困難)
・針を抜いてもなかなか血が止まらない…(止血困難)
シャントが狭窄・閉塞した際の治療法には、
①シャントを作り直す(再建手術)
②手術で血液の塊(血栓)を取り除く
③経皮的血管形成術(PTA)を行う
があります。
多くの場合、当院で行う③経皮的血管形成術(PTA)で対応することができます。
経皮的血管形成術(PTA)については、「経皮的血管形成術(シャントPTAについて)」を参照ください。